[鬼頭] after our music hour vol.5

この「書籍」でいうところの「あとがき」のようなコンサートレポートも5回目です。
引っ張るね〜
前回ようやく「開幕!」というところまで、こぎつけたのですが今回は素直にコンサートのレポートには行けない!
なぜなら、その前回に「後ほど絶大な効果を発揮するのです!」と書いた舞台の事についてオハナシせねばなりますまい!だからです(こうなったら徹底的に引っ張る方向性)
++++++++
前回も書きましたが、企画担当の浅利さんと「今回の舞台、どうしよう?」という話がミーティングに持ち上がった時。俺はひとつの「賭け」に出てみようか?と思ったのです。
別に「無謀なバクチ」というほどの事でもないし、浅利さんが言う「今までとは違った見せ方をしたい」の「違い」の部分を最も効果的に表現できると思って。
で、その「賭け」はなにか?っていうと立って演奏するということ。
「どこが賭けなの?」と思うかもしれないけど、立って演奏するのって案外難しい。
別に「体力的」とかじゃなくて。そんなこと言ったら、元々KABB!は「野外練り歩きスタイル」がルーツで座って演奏するようになったのが後だもん。
ただ、野外で「演奏する方」も立ってて「お客さん」も立っててってお互い流動的にやってく場合と、ホールなんかで「見るぞ!」って座ってるお客さんの前でやるのって全然違う。
なにが一番違うって、野外の場合まず足を止めてもらうには圧倒的に「音」。こっちを向いてない人や遠く離れた所にいる人にも「やってますよ〜!」って知らせなきゃいけない。
逆にホールの場合はまず「見た目」が音より先に入ってくる。そこで「大丈夫か〜?」って思わせちゃいけない。
もちろん、野外でも「見せる意識」ってのは高く持ってないとダメなんだけど、なんとかごまかしが効かないでもない。ところが屋内の場合は「立ち振る舞い」がイケてないと、途端にシラケるんだよな〜
本来、ノリが良く見せるための「立奏」がかえって逆効果になる。
そこが「難しい」ところ。
そうは言っても、今回は「立ち」でやってみたかった。
たとえば、こちらの写真をご覧ください。

これは、昨年の東京ツアー「江古田バディ」での模様ですが・・・
これ本番中ですよ!(大苦笑)
ツマラナソー!
いくら演奏に集中してるとはいえ、その一部を切り取った写真にここまで「音楽」が聴こえてこないとは・・・
特にこの時は、全員にマイクがあったので普段「音が飛んでこないから」と立ってる後列のトランペット・トロンボーンも座ってて。撮影をしてくれた水野さんがライブの感想で「なんかキレイにまとまっちゃって・・・」みたいな苦言をしてくれたけど、音だけが理由じゃないと思うんだなぁ〜
やってることは「音楽」なんだから「音」で勝負なのかもしれないけど。KABB!は「音楽」の「楽」にこだわってるバンドですからね。ライブって生の現場で「視覚」を最大限に利用しない手はないのです。
もちろん、サウンド的にはスピーカーからドーンと出てるし、そんなに広くないフラットな客席のライブハウスだから、これでも「まぁ、アリか」とは思うんですけど。
ホールコンサートでこの見た目はないでしょう?!
「見せる気が無いならコンサートなんか開くな!」とお叱りを受けること確実。
かといって、たまに吹奏楽団の演奏会で見かける「振り付け」みたいなのも「見せる」を勘違いした惨憺たるものだしね〜
で、まぁKABB!もまだ「時期尚早かなぁ」とも思ったのですが・・・一応「ROR」みたいなイベントに出たり、お客さんオールスタンディングの「踊らせるライブ」ってのを経験して、以前よりは多少なりとも「見せる・見られる」って事に対する意識も上がったかなぁ〜?・・・と、賭けに出ることにしたのです(もちろん、以前から「見せる意識」ってのが高くて安心できる人もいっぱいいるんだけど、悲しいかなお客さんの目は「できてない人」がひとりでもいると、そこに集中して「全体の印象」として捉えてしまうんですよね〜)
で、即実行!
まず、俺が紙に「だいたいこんな感じで」って舞台の絵を描いて、浅利さんに見せて。
「どこに何人ならぶの?」みたいな事を決めて、それを舞台監督の安部田さんに確認してもらって。
もちろん安部田さんの返事は「できるよ!」だから、30cm刻み三段・床面を合わせて四列が今回の舞台となったのです!
で、次に具体的に「どのメンバーがどこに立つか?」ってのを決めたら、衣装の伊東さんに「今回は立ちだからね!頭のてっぺんからつま先までバッチリ頼むよ!」とコーディネートをお願いして・・・
え〜まずは2007年同じ千種文化小劇場でやった時の写真をご覧下さい。

これも別に悪かない!
まぁ、コンサートっつったらこんなもん?っていうか充分、充分。
でもなぁ、なんか固くない?KABB!の音楽ってこんなムード?
で、お次は今回の写真!
(ほぼ同じ位置から撮ってます)

絶対こっちでしょう?
まさに「アワーミュージック」
これを絶大な効果と言わずしてなんという?
も〜ゴチャゴチャしてるし、モチロン決まった「振り付け」なんて無いからてんでバラバラだし。「一応ルールはあるみたい」ってのはわかるんだけど色だけかい!ってツッコミが入りそうな・・・
そんな「音楽」が聴こえてきませんか?(バディの時と同じ人が撮った写真ですよ)
なんかね、衣装も見事に個々のキャラクターを「記号化」してるような気がします(ヤンキー=スエットみたいな)上品なかっこうしてる人は実際「上品」だし。マジメそうなかっこうしてるヤツは「マジメ」だし。
下品でフザケたヤツもちゃんといるのがいい。
実際のお客さん目線に近い低い位置からのアングルでも随分差があります。
2007年

今回

これも、ほぼ同じ位置から撮ってますけど、2007年より遠く感じる?
というのも、今回は「フロアをいっぱいに使った演出も考えたい」という浅利さんの企画で、2007年までより少し奥まった所を舞台としたのですね。
というわけで、こんなシーンも。

遠くて奥まってるぶん、出てきた時の「近っ!」ってのがデカイ。
これも絶大な効果!
(つづく)


鬼頭哲http://kito-akira.com