昨日、ジャズ喫茶で。明日、ピットインで。

ぼろぼろバイブル

6月ももう12日。ピットインのライヴからもう1週間以上も過ぎたような気がします。(当たり前)
遅ればせながら私も東京ツアーについて少し。今回私は行き帰りとも個別行動でした。帰りは人に会う用事があり、行きはちょっと確認したいことがあったからです。
何を「確認」したかったのか?
失礼して30年前に戻ります。当時私は20歳。ジャズにのめりこんでおりました。
来る日も来る日もジャズ喫茶に通い、ライヴハウスでライヴを観まくる、完全にそのためだけに存在していたといっても過言ではありません。*ジャズ喫茶→一日中ジャズのレコードを大音量でかけまくり、会話ができなかった(禁止されていたところもあり)今ではマジありえないキッサ店のこと。30年前は日本中にありましたが、今やほとんどなし。残っている店は天然記念物に指定されております。
というわけで、狂った毎日を送っていた私。ピットインにもよく行きました。現在とは少し違う場所にありましたが、とにかく私にとって特別な場所でした。「国内外の一流ジャズメンを間近で観ることのできる場所」であり、「いつか自分がそこで演奏したい」場所ではなかったのです。
そんな偏った思い入れのあるピットインでのライヴが決まった時、とても不思議な感覚にとらわれました。嬉しくないといったらウソになりますが、「自分はホントにあのピットインで叩くのか?なんか変だぞ?」といまひとつ現実味がなかったのです。
そこで、今回本番前に昔よく行ったジャズ喫茶やピットイン(昔の)のかつてあった場所を自分の目でもう「そこ」には「無い」ことを改めて確認して自分の中で一区切りをつけようと少し早めに新宿に来たというわけです。
案の定というか、当然のごとく当時あったジャズ喫茶、ピットインは影も形もありませんでした。まだ当時の店構えのまま廃墟(大げさ)となっているところもありましたが・・・
と、しみじみしていたらメンバーの山田奈緒から連絡が。
「今どこでなにしてますかあ〜?」
「い、いや。ちょっと新宿で青春の忘れ物を捜しに・・・」
「あ゛〜? 何寝ぼけたこと言ってんだよおっさん!みんなセッティング始めてんだよ!はよ来んかいボケ!」
「す、すいません。すぐ行きます」
え〜今の会話は97%ウソです。彼女は29歳も年上の立派な?オトナを罵倒するような女性では決してありません。(確認の連絡があったのはホントです)
というわけであわただしくピットインに到着し、セッティング・音出し・本番とあっという間に終わりました。現在のピットインは以前より少し狭く、雰囲気も違いました。それも自分には幸いしたようです。変な思い入れなどどこにも入るスキマはありませんでした。他のメンバーにも私のような思い入れをもっている者は多分いなかったことでしょう。若いメンバーは私がピットインに足繁く通っていたころはまだ生まれていなかったのです。
「その時」の自分は確かにそこにいた。だけど今は「現在進行形」の音楽をみんなとやっている。
ありがとう!新宿ピットイン。さようなら。そして、これからもよろしく!
(丸市)