報告!「合宿ウラ話」的な(前編)

kabb2009-02-13

先日の土日、2月7・8日に一泊ではありますが、鬼頭ブラスとしては初の「合宿」を行いました。
バンドの合宿なんていうと「高原のロッジ」だとか「湖畔のペンション」って「行くこと自体」がワクワクするようなシチュエーションを想像される方も多いと思いますが。
我々が選んだ場所は名古屋市緑区にある「宿泊青年の家」という・・・
まぁ、普段リハーサルで利用しているような安価な市営の練習場に、さらに安価な宿泊施設が併設されている(30歳以下は一泊¥600!!!それ以上のおっさん・おばさんでも¥1900)、というイワユル「お役所的」な、若干殺伐とした所なんですがね。
それでも、周りには池やら公園やら結構自然もあって解放的で。
さらに今回は合奏のできる「プレイルーム」という広い多目的部屋の他に、10何畳の音楽専用の防音室を二部屋借りるという、街の真ん中でやってる普段のリハよりは少しだけゆったりとできる演出にはなっていたのですが・・・
いや〜忙しかった!特に俺が!
今回の合宿の最大の目的は「録音」
なんですが、ウラ話的には「録音の方法を試す録音
これはどういうことか?というと、ようするに「上手くいくだろうか?というアレコレを試す」という事ですね。
これまでも、ブラバンでは何種類か音源を発表してきましたが、すべて「一発録り」という「全員でジャーンとやって、ハイOK!」という物だったのです。
これはこれで、いつものライブみたいな勢いがあって「良い」っちゃあ良いんですがね。
しかし、これから出そうとしているCDの為の録音としては、大いに不満があったわけです。
バランスの問題ですとか、後から加工する時の「できること」に対する可能性の少なさとか・・・
まぁ、単純に「一発録り」の方が、まず全員のスケジュールを合わせなければいけないという、ウチにとって「最大の難関」があるし、広いスタジオを借りて、この人数分のマイクセッティングをして・・・たぶん、これで半日はかかるでしょう。だから、一度機材を組んだら「借りっぱなし」にしないとイチイチ大変って事になる。かといって、無限に使えるお金があるわけではないので「いざ録音」となった時の「時間との勝負」という緊張感との戦いや、たった一人のミスによる「やりなおし」というアレはミスった方も、ミスらなかった人も・・・
果たして、ウチのメンバーはこんな状況で力を発揮できるのか?
で、そんな中、録音したものに「これでいいや」と妥協する自分が目に見えているのです。
しかし、いくら「納得がいかない」と言っても、そこまでかかった費用を回収すべくCD化する事を余儀なくされ、けっして「かわいいと思っていない子供」を世に出した事を一生ウジウジと後悔する自分も目に見えているのです。
ようするに「一発録り」ってのは、インディーズバンドが一番弱い部分(ま、金の無さですね)をモロに直撃するという。
アホほど時間と金をかければ、誰だってよぉってハナシ。
いや、これはけっして「メジャー批判」ではなく、某大手レーべルでの実際の録音経験からくる「ウラヤマシイ」という事なんですけどね。
「だったら」という事で、最小単位は「ひとり」というパートごとなんかの「別録り」をする事にしたのです。
金が無い分「工夫」ですよ。
ただ、これについても「懸念」される事はいくつかあって・・・
まぁ、それなりに「まとまった」モノはできるでしょう、しかし「それがおもしろいか?」という事。
ようするに、俺がPCで作るデモ音源の「ただの生版」になってしまわないか?という。
まぁ、これが「一流」とかのスタジオミュージシャンだと「この曲のこの部分」というのを抜き出して演奏するのも上手いのです。たとえば2小節のカウントだけを聞いて録音する場合でも、それが曲のクライマックスであれば、あたかも「曲のはじめから参加していたように」演奏しちゃうわけです。
で、これが慣れていない人だと、曲の途中の一部分であっても、すべて「リセットされたような演奏」
そういうのを並べて、曲にはめ込んでいくとまるでシンセで打ち込みでもしたような音楽になってしまうのです。
これ、バンドの音源としてはおもしろくないでしょう?
だから「一発録りは無理だから別録り」と即決もできなかったわけです。
というわけで「録音の方法を試す録音」
さらに「テストにいちいち呼んでられん!」と、録音エンジニアも俺がやることにしたのです。
うまくいくかどうかわからない事」にお金を使うわけにはいきませんから!
その為に、イチから機材の勉強をして、準備して、と合宿に備えて・・・
で、不慣れな「新米エンジニア」として、最初の方に書いた「いや〜忙しかった!特に俺が!」となったわけです。
アシスタントにPC関係に強いテナーサックスの安井君が付いてくれましたが、こちらもレコーディングとなると「素人同然」なわけで、ふたりで合宿の間中「あ〜」とか「う〜」と唸っていたのですが・・・
結論から言ってしまいましょう。
もう、バッチリ!笑っちゃうほど良いものが録れました。
「素人があんなやり方であの機材で?」って。
ザマーミロ!工夫の勝利だぜ!

(これはいらん工夫!と実に冷ややかな小島女史の態度。
勝因のひとつは、結構「やりなれた」もう何度もライブで演奏している曲を素材に選んでいたので「この曲のこの部分」ってのをみんなが良くわかっていた事。
後から、編集して聴いてみると、ちゃんと頭から通して全員で演奏しているようなテンション!
言わないと「これホントにバラで分けて録ったの?」って思うかもしれない。
勢いもあるし「実に鬼頭ブラスらしい」って部分もたくさん盛り込めて・・・
だから、最初は「どうするつもりもなかった」今回の合宿での録音物を「もったいないから」と急遽販売する事にしました!
だってお金が無いんだも〜ん。
(後編へ続きます)

鬼頭哲http://kito-akira.com